サブプライムローン問題に端を発し、アメリカの金融危機から全世界へ不況が駆け巡り、暗い影を落としていた2009年。
この年5月には、『カールじいさんの空飛ぶ家』が、11月には初の黒人プリンセス、ティアナが『プリンセスと魔法のキス』でデビューを飾りました。 そして、25周年を迎えた東京ディズニーリゾートから、惜しまれつつも、アトラクションが5月25日にクローズしました。
『みんなの大好きなディズニーキャラクターによる魔法に満ちたミュージカル』
- マジカル・コンサート
- サウンドトラックとミッキー
- 魔法に満ちたコンサート
- クラシックなセットリスト
- 🎼序曲
- 🎼ハイ・ホー from『白雪姫』(1937)より
- 🎼口笛ふいて働こう from『白雪姫』(1937)より
- 🎼星に願いを from『ピノキオ』(1940)
- 🎼ハイ・ディドゥル・ディー・ディー from『ピノキオ』(1940)
- 🎼オオカミなんてこわくない from『三匹の子ぶた』(1933)より
- 🎼アイム・ウィッシング from『白雪姫』(1937)
- 🎼シリーソング from『白雪姫』(1937)
- 🎼かがやく昼下がり from『ふしぎの国のアリス』(1951)
- 🎼俺たちは三銃士 from『三人の騎士』(1945)
- 🎼ビビディ・バビディ・ブー from『シンデレラ』(1950)
- 🎼これが恋かしら from『シンデレラ』(1950)
- 🎼ジッパ・ディー・ドゥー・ダー from『南部の唄』(1946)
- 🎼ミッキーマウス・マーチ
- ディズニー本社との友情
- ディズニー・マジック
- THE SHOW MUST GO ON
マジカル・コンサート
東京ディズニーランドのグランドオープン時から、ファンタジーランドにあったコンサート形式のショーアトラクション。
マエストロ(指揮者)に扮したミッキーが、オーディオアニマトロニクスのディズニーキャラクターを指揮してディズニーソングを演奏するものでした。
ホールディングエリア
ウェイティングルームには、これまでミッキーが演じてきたさまざまな役の肖像画が飾られていました。
"STEAMBOAT WILLIE"(1928)
『蒸気船ウィリー』
"TWO GUN MICKEY"(1934)
『ミッキーの二丁拳銃』
"THE BAND CONCERT"(1935)
『ミッキーの大演奏会』
"MICKEY'S POLO TEAM"(1936)
『ミッキーのポロチーム』
"THE BRAVE TAILOR"(1938)
『ミッキーの巨人退治』
"THE POINTER"(1939)
『ミッキーの猟は楽し』
"SORCERERS APPRENTICE"(1940)
『ファンタジア』
"THE NIFTY NINETIES"(1941)
『ミッキーの青春手帳』
これらの壁紙は、ショーエリアでも飾られており、取り上げられた作品はプレショーでもいくつか紹介されています。
サウンドトラックとミッキー
ミッキーマウス・レビューは、マジックランプシアターのように、ショーの前にプレショーがありました。
プレショーでは、ファンタジアに登場したサウンドトラックによって、音楽とミッキーの功績が8分ほどの映像で紹介されています。
サウンドトラック:
ハーイ、みなさん!
ボクは今、みなさんがご覧になっているサウンドトラック。
でもボク、やせっぽっちでかっこわるいって、
いつも陰でしか働かせてもらえないんです。
トーキーとミッキー
映画の歴史は、1888年に映画の父とも呼ばれるフランス人発明家ルイ・ル・プランスによる2秒の作品から始まりました。
1888年発表。最古の現存する映画フィルム
しかし、まだBGMもセリフもない無声映画。
映画の内容を口頭で説明したり、上映と同時にオーケストラで生演奏をしたり、様々な工夫が生み出されました。
1920年代になると、セリフやBGMを録音したレコードを映像と同時に流したりと、映像と音声を同期させたトーキー映画が上映されはじめます。
蒸気船ウィリー
ウォルト・ディズニーは、このトーキー映画に目をつけ、フィルムに映像も音声も記録できるサウンドトラック方式を採用。
サウンドトラック:
ボクの古い友だちを紹介します。 我らがエンターテイナー、ミッキー・マウス!
ミッキーとボクは同じ頃、ショービジネスの世界に入ったんです。
公開95年後の2024年1月1日、著作権保護が終了。
レコードと映像を同時に流すのでは、音飛び1つで動きと音にズレが生じかねません。
そこで、映像だけでなく音楽もフィルムに記録することで、映像と音を完璧に同期させることができたのです。
ミッキーのスクリーンデビュー作、『蒸気船ウィリー』は、縁の下の力持ちサウンドトラックのおかげで、それからのミッキーマウスの人気を不動のものとしたのです。
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
初代ミッキー声優の正体は?
サウンドトラック:
ミッキーの声が聞けるのも、サウンドトラックのおかげです。 実はこれ、ウォルト・ディズニー本人の声なのですが、ミッキーの声にぴったりですね。
初期のミッキーの声優を務めていたのは、ウォルト・ディズニー本人。
蒸気船ウィリーの口笛はもちろん、ミニー、ピートの声までもウォルト本人が担当しているんです。
本作でミニーの声は女性社員が担当しています。
ウォルトはミッキーの声優を務めていたのは1947年まで。
2代目の白羽の矢が立ったのは、ウォルト・ディズニー・プロダクションで音響効果を担当していたジム・マクドナルドが就任、1977年まで務めました。
カラーアニメーションとミッキー
サウンドトラック:
カラーアニメーションをさいしょに作ったのは、
ウォルト・ディズニー・スタジオのミッキーとその仲間たちでした。
ディズニー作品初のカラー映画は、『シリー・シンフォニー』シリーズの『花と木』。
この年完成したばかりの新技術『三色式テクニカラー』を導入しているのですが、白黒で完成していたものをわざわざ作り直し、予算をオーバーしてまでカラー映画に挑戦。
その結果、1932年のアカデミー賞・短編、カートゥーン部門で最優秀賞に輝き、大成功を収めたのです。
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
ところが、カラーのミッキーがスクリーンで御目見するには、1935年公開『ミッキーの大演奏会』まで待たねばなりませんでした。
ミッキーの大演奏会
ミート・ミッキーでのコスチュームとして見覚えのあるゲストも多いかもしれませんね。
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
ミッキーの芝居見物
『ミッキーの芝居見物』は、はじめてミッキーとドナルド・ダックが共演し、グーフィーがモブからメインキャラになった歴史的な作品です。
サウンドトラック:
どうです?ミッキーの上達ぶり。
2つの画面を比べると、ミッキーとドナルド・ダックが時代と共に変わってきているのがとってもよくおわかりになるでしょう?
1934年に公開されましたが、7年後の1941年に改めてカラー版でリメイクされており、キャラクターデザインの変化がわかりやすいですね。
ミッキーの夢物語
サウンドトラック:
いまやミッキーは本物のエンターテイナー。
歌もダンスも抜群のうまさ。
鏡の国のアリスが元になっているこの作品。
ちなみに、こちらも、ミート・ミッキーでのコスチュームのひとつとして知られていますね。
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
ミッキーの捕鯨船
アメリカの作家ハーマン・メルヴィルの小説『白鯨』に着想を得た作品。
登場するクジラは、ピノキオのヴィラン・モンストロのベースにもなっているんだとか。
ミッキーのお化け退治
サウンドトラック:
お化けたちが出てきても、決して慌てたりしませんよ。
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
ミッキーの猟は楽し
サウンドトラック:
大きなクジラや、おそろしいクマなど、
ミッキーの冒険譚の相手は実にさまざま。
ファン・アンド・ファンシー・フリー
サウンドトラック:
どんな役でもOK。
ある時は、怪物のような巨人とも戦いました。
1947年にオムニバス作品として公開された『ファン・アンド・ファンシー・フリー』の後半にあたる作品で、イギリスの童話『ジャックと豆の木』をミッキー・ドナルド・グーフィが演じています。
ちなみに、本作がウォルト・ディズニーがミッキーを演じた最後の作品だったりもします。
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
ミッキーの青春手帳
ファンタジア
サウンドトラック:
そしてミッキーは、彼の待ちに待ったはじめての長編映画で『魔法使いの弟子』を演じました。
クラシック音楽をアニメーションで表現した、全く新しい映像芸術。
ミッキー・マウスや、白雪姫で成功を収めていたウォルト・ディズニー。かねてからより芸術的な作品を作りたいと考えていました。
そんな折、フィラデルフィア管弦楽団を率いていたレオポルド・ストコフスキーと、ハリウッドのとあるレストランで偶然出会い、意気投合。
こうして8曲のクラシック音楽からなるファンタジアを制作することになったのです。
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
魔法に満ちたコンサート
ショーに登場するキャラクターは、オーディオアニマトロニクスという技術によるもの。
『ミッキー&フレンズ』より
・ミッキーマウス(マエストロ)
・ミニーマウス(バイオリン)
・グーフィー(アコースティック・ベース)
・プルート(シンバル)
・ドナルドダック(マラカス)
・デイジーダック(チェロ)
・ヒューイ・デューイ・ルーイ(トランペット)
・スクルージ・マクダック(ギター)
ミッキーマウスのオーディオアニマトロニクスがディズニーパークで初めて登場したのが、このミッキーマウス・レビュー。
『くまのプーさん』より
・くまのプーさん (カズー)
・ラビット(たて笛)
・ピグレット(ハーモニカ)
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
『ダンボ』より
・ダンボ、ティモシー(チューバ)
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
『不思議の国のアリス』より
・マッドハッター、ヤマネ、3月うさぎ(バスクラリネット)
・アリス
・歌う花たち
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
『シリー・シンフォニーシリーズ』より
○三匹の子ぶた
音楽に主眼を置き、ミュージカル形式で大きな成功を収めたシリー・シンフォニーシリーズの36作目。
ミッキーをもしのぐ人気を得て、1934年のアカデミー賞短編アニメ賞を受賞した作品でもあります。
・ファイファー・ピッグ(アコーディオン)
・フィドラー・ピッグ(バイオリン)
・プラクティカル・ピッグ(ピアノ)
・ビッグ・バッド・ウルフ
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
○田舎のねずみ
1936年公開のシリー・シンフォニーシリーズの63作目。こちらは1936年のアカデミー賞短編アニメ賞を受賞しています。
このキャラクターたちがディズニーパークにはじめて登場したのがミッキーマウス・レビューでした。
・モンティ・シティーマウス(クラリネット)
・アブナー・カントリーマウス(サックス)
『シンデレラ』より
・シンデレラ
・フェアリー・ゴッドマッザー
・プリンス・チャーミング
・ガス、ジャック(トロンボーン)
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
『ジャングル・ブック』より
・バルー、カー(フルート)
・キング・ルイ(マリンバ)
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
『白雪姫』より
・白雪姫と森の動物たち
・7人の小人(たて笛、よこ笛、パイプオルガン、バンジョー、アコーディオン、ギター、バイオリン)
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
『三人の騎士』より
・ホセ・カリオカ(ギター)
・パンチート(ピストル)
ディズニープラスでも配信されているので、視聴するには下記リンクから!
『南部の唄』より
・ブレア・ラビット
・ブレア・フォックス
・ブレア・ベア
総勢81のディズニーキャラクターが登場していました。
実は、構想段階ではオーケストラに参加する予定だったキャラクターもいたんだとか。ちょっとご紹介してみましょう。
モーティ&フェルディー
ミッキーの姉、フェリシティ・フィールドマウスの双子の子供たち。ミッキーにも甥っ子がいたのです。
実はかなり古株のキャラクターで、初登場は毎週日曜に新聞連載されていたコミック。
そこから逆輸入される形で、1934年の"Mickey's Steamroller"『ミッキーの道路工事』でフィルムデビューを飾っています。
そこからしばらく登場機会に恵まれませんでしたが、2017年のアニメーション『ミッキーマウス!』で久しぶりに登場!
ついにドナルドダックの甥っこ、ヒューイ・ドゥーイ・ルーイと共演を果たしました。
ピノキオとゼペットじいさん
1940年公開『ピノキオ』に登場した、おもちゃ職人のゼペットと、命を授かったからくり人形ピノキオ。
作中でも、ゼペットじいさんの家にはからくり時計やオルゴールが飾られていました。
ミッキーマウス・レビューでもおもちゃを使って演奏予定だったのかも…?
ハンフリー
1950年のグーフィの短編作品で初登場した彼ですが、ドナルドのライバル(?)として知られています。
ブラウンストーン国立公園に仲間のクマたちと暮らすハンフリー。のんびりいつもご飯にありつけません。
国立公園を管理するJ・オーデュボン・ウッドローからはいつも注意されてばかり。
国立公園を訪れたドナルドから、食べ物を横取りしようとしてパニックを引き起こします。
ホーレス・ホースカラー
1929年公開『ミッキーの畑仕事』でスクリーンデビューしたミッキーの親友の1人。
1940年代以降は、スクリーンから出番を減らしていましたが、近年のテレビシリーズでは、再びメインキャラクターとして登場することが増えています。
クラシックなセットリスト
演奏されるディズニーソングは、ウォルトが制作に携わっていた1950年代までのディズニークラシック作品からの選りすぐりの名曲たち。
🎼序曲
さあ、いよいよコンサートの開演です!
指揮者はもちろんわれらの人気者、ミッキーマウス!
🎼ハイ・ホー
from『白雪姫』(1937)より
1937年公開のディズニー初の長編アニメーション『白雪姫』から、小人たちの歌う曲。
🎼口笛ふいて働こう
from『白雪姫』(1937)より
こちらも『白雪姫』より。白雪姫が、小人たちの家を森の動物たちと一緒に大そうじしながら歌っている曲です。
プリンセスが動物たちと掃除する姿は、後年のディズニー作品でもパロディされるほど定番となっています。
本作で大掃除の手伝いをするのは都会の生き物たちで…?
🎼星に願いを
from『ピノキオ』(1940)
1940年公開『ピノキオ』の主題歌として、登場人物のジミニー・クリケットによって歌われたこの曲。
脚本スタッフはこの曲を聞いた瞬間、映画名作になると確信したといいます。
オープニングに据えるとともに、ミュージカル作品にすることに決めたほどだとか。
『星に願いを』といえば、シンデレラ城を背景にした映画のオープニングでも有名ですよね。
1985年公開『コルドロン』から本曲が流れるようになり、『ラマになった王様』などで音楽を務めたジョン・デブニーが編曲を担当しました。
2006年公開『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』から、シンデレラ城はCGで描かれるように。そのタイミングで、編曲は『ターザン』などで知られるマーク・マンシーナにバトンタッチしています。
さらに、ウォルト・ディズニー・スタジオ創立100周年を記念して、2023年には『アナと雪の女王』や『アントマン』を担当したクリストフ・ベックが引き継いでいます。
ウォルト・ディズニー・スタジオ創立100周年を、ディズニーキャラクターたちが祝う短編作品、『ワンス・アポン・ア・スタジオ-100年の思い出-』でも、ラストに歌われている曲。
まさにディズニーを代表する曲といえるでしょう。
🎼ハイ・ディドゥル・ディー・ディー
from『ピノキオ』(1940)
正直ジョンが、ピノキオをストロンボリ親方のもとに連れて行く際に歌う曲。
ディズニー映画でヴィランが歌った初めての曲です。
🎼オオカミなんてこわくない
from『三匹の子ぶた』(1933)より
突然劇場が暗転して、スクリーンに忍び寄るビッグ・バッド・ウルフの姿が映し出されます。
原作では、ファイファー・ピッグはフルートを演奏していますが、このショーではアコーディオンを担当しています。
🎼アイム・ウィッシング
from『白雪姫』(1937)
🎼シリーソング
from『白雪姫』(1937)
🎼かがやく昼下がり
from『ふしぎの国のアリス』(1951)
🎼俺たちは三銃士
from『三人の騎士』(1945)
ドナルドダックと、ラテン・アメリカに住む古い友人・ブラジル出身のホセ・カリオカ、メキシコ出身のパンチートと三人の騎士を結成して歌う曲。
演奏する3人が乗っているフライング・サラぺは、原作でも登場しているもの。
なんと、パンチートが担当する楽器(?)は両手に持ったピストル。撃つとスクリーンに弾丸が映し出され、撃たれた先にドナルド、ホセが現れる演出がとられていました。
パークでも人気の高いこの三人の騎士ですが、意外にもイッツ・ア・スモールワールドに登場するまでは、このショーが唯一の登場アトラクションでした。
🎼ビビディ・バビディ・ブー
from『シンデレラ』(1950)
フェアリー・ゴッドマザーがシンデレラに魔法をかける際に歌う曲。
ミッキーマウス・レビューでも魔法でシンデレラの姿が変わる演出が。
🎼これが恋かしら
from『シンデレラ』(1950)
フェアリー・ゴッドマザーの魔法で美しい姿に変身したシンデレラは、舞踏会でプリンス・チャーミングと歌い愛を深めた曲。
ディズニープリンセスとプリンスが初めてデュエットしたこの曲。『いつか夢で』(眠れる森の美女)、『ホール・ニュー・ワールド』(アラジン)、『輝く未来』(塔の上のラプンツェル)へと、名曲に続いていくのです。
🎼ジッパ・ディー・ドゥー・ダー
from『南部の唄』(1946)
スプラッシュ・マウンテンの原作にもなっている『南部の唄』でリーマスおじさんの歌う曲。
原作映画『南部の唄』の内容が、人種差別的に問題があるとの指摘を受け、原作映画は封印され見ることができない本作。
また、ディズニーパークのエントランスミュージックから削除されるなど、不遇な作品になっています。
🎼ミッキーマウス・マーチ
もともとは、1955年から1959年にアメリカのテレビ局、ABCで放送されていた番組『ミッキーマウス・クラブ』のテーマソング。
ディズニー本社との友情
1962年のインタビューのなかで、ウォルト・ディズニーは、オーディオ・アニマトロニクスの技術を使って、すべてのディズニーキャラクターを登場させるアトラクションを作る構想を語っていました。
その意志は1966年にウォルトが亡くなっても3人のイマジニア、ジョン・ヘンチ、ビル・ジャスティス、ヴァテル・ロジャースによって引き継がれました。
1971年10月1日に、世界で2番目のディズニーパーク、マジック・キングダムの開園日に『ミッキーマウス・レビュー』がオープンしたのです。
1970年代、東京ディズニーランド開園のため奔走していたオリエンタルランド社長・髙橋政知は、マジック・キングダムへ視察に訪れます。
その際に、東京ディズニーランドにも導入したいと考えていたのがこのミッキーマウス・レビューでした。
👇オリエンタルランドについてはこちらから!
東京ディズニーランド誘致に尽力した髙橋政知への個人的親交としてプレゼントされることになりました。
ディズニーパークのアトラクションは、イマジニアたちの職人技より作られるもの。
新たに日本のためミッキーマウス・レビューを作るよりも、費用が抑えられることもあり、東京ディズニーランドへそのまま移設されることに決まりました。
1980年9月14日にマジック・キングダムでのラストショーを終え、東京ディズニーランドの開園と共にオープンすることになったのです。
ディズニー・マジック
ウォルト・ディズニーの手掛けた最後のアトラクション、『カリブの海賊』。ウォルトは、WEDエンタープライズのイマジニアにこう言いました。
一度に見られないほどのものを置きなさい。
そうすれば、ゲストは何度でもここに戻ってくるよ。
このウォルトの教えは、今でもディズニーテーマパークに息づいています。アトラクションに乗ってからはもちろん、乗るまでの待ち列にもたくさんのストーリーがあるのです。
さて、待ち時間も楽しくなるような、ディズニーがアトラクションに隠したストーリーの魔法をいくつかご紹介します。
悲劇と喜劇のミッキー
ミッキーマウス・レビューのショーエリアの緞帳にデザインされていたのは、2つの表情のミッキーのお面。
古代ギリシャの時代から、遠くの観客席からも役者の表情がわかるように仮面劇が演じられてきたことから、喜劇と悲劇の仮面が劇場のシンボルとなったのです。
それはやりすぎだよ、スティッチ。
2006年4月15日から7月13日、2007年4月10日から7月19日に東京ディズニーランドで行われたイベント『リロ&スティッチのフリフリ大騒動〜Find Stitch!〜』。
期間中はパーク内のあちこちで、スティッチが隠れていたり、いたずらをしていたり…
ミッキーマウス・レビューも例外ではありませんでした。
スティッチにペンキで落書きされてしまっています。
こんなところにマエストロミッキー
ウォルト・ディズニー・レコードは、ウォルト・ディズニー・プロダクションのレコード部門。
制作・製造・販売を自社で担うために1956年に創設され、サウンドトラックやディズニーソングのアレンジアルバムなどを今でも発売しています。
マエストロに扮したミッキーがロゴマークとして使われています。実は、ミッキーマウス・レビューの姿から着想を得て採用されたそうですよ。
35年ぶりの帰郷
カリフォルニアのウォルト・ディズニー・ワールド。
世界中の国々を模したパーク・エプコットのメキシコ館には、三人の騎士をモチーフにしたアトラクション『三人の騎士のグラン・フィエスタ・ツアー』があります。
メキシコ・シティを巡りつつ、フィナーレの三人の騎士のコンサートに参加するこのボートライド。
当初、コンサートはスクリーンによる演出でしたが、2015年12月4日からドナルド、ホセ、パンチートのオーディオアニマトロニクスが導入されました。
このアニマトロニクス、コスチュームやカラーリングは変更されていますが、もともとミッキーマウス・レビューで使われていたものなんです。
いまだに現役で使われているとは驚きですね。
THE SHOW MUST GO ON
2009年5月25日、ミッキーマウス・レビューは惜しまれながらもクローズ。カリフォルニア9年、東京26年、のべ38年の歴史に幕を下ろしました。
その跡地に作られたのが、フィルハーマジックなのです。